6:00起床、6:50玄関前集合。集合した時点では青空も見えていました。「最終的には12:00頃から崩れ始めるとの事。崩れる前に、なるべく上に登ってしまいましょう。またなだれの巣を通過するので、大丈夫だとは思いますが、気をつけていきましょう」・・・とストレッチと済ませ、7:00前にロッジを出発しました。
大曲手前で、「ゴー」と音がしたと思ったら、向かいの斜面から小規模のなだれ。「ゴーと言う音がしたら気をつけて周りを見回してください。」この後斜面を見ながらなだれがあった時の逃げる方法・方向等の説明をしながら進んでいきました。大曲まで来たところで、アイゼン・ハーネスを装着。万が一の時の為にウエストベルトははずしました。(茶色い筋がある所が目撃した、音と共に雪崩れた部分です)
アイゼンを履きピッケルを持つのはまだ2回目の経験で、しかも今回は残雪期の雪山。歩くと、足が、ずぼっと雪の中にもぐってしまいます。前の人の踏み跡を歩いても、何故か、もぐってしまいます。またアイゼンを平らに置けないと後ろにズリっと滑ったり、バランスを崩したりしてしまします。慣れてくると、その辺が分かって来て、しっかりと登れるようなのですが・・・
アイゼンをつけて歩き始めて1時間位した頃から足が重くなり、一歩を出すのがしんどくなってきました。しばらく頑張って登りましたが、残雪にずぼずぼもぐってしまった事で、脚の筋肉にかなりの負担がかかり、数歩歩いては休まなければ先に進めなくなってしまいました。小屋はもう見えているのですが、身体が思うように動きません。
結局私は他の人とは別行動でサブリーダーの方と一緒に後からゆっくり行く事になりました。
休憩時にアイゼンやハーネスをつけなければいけなかったので、慣れない私はもたもたしていて食べ物を補給できなかったいわゆる「シャリバテ」状態でもあったようで、身体に力も入らない状態だったので、まず食べるものを食べ、飲むものを飲み、腹ごしらえをして、登る時も歩幅を狭くし、
ゆっくりとしたペースで登山再開。しかし一度バテてしまうとなかなか回復しないもので、槍ヶ岳山荘がすぐそこにあるのに、なかなか到着できませんでした。先行隊より30分以上遅れでやっと到着。その頃には雪も降り始め、小屋に入って10分ぐらいで、外は雷と吹雪。大荒れになってしまいました。
でも、こんな近くにある穂先も、バテてしまってからは写真を撮るのは勿論の事、景色も時計も見る余裕などなく、到着して、小屋の時計を見たら1時10分前だった事だけ記憶に残りました。先発隊はすぐに穂先に登る予定でしたが、私はそんな余裕は残っていなかったので、登頂はあきらめ小屋に残る事にしました。
槍ヶ岳山荘のレストランで紅茶を飲んで暖まっていると、「雷が鳴ってきたので、登頂は中止になりました」との事。他のメンバーもレストランに集まってきてわいわいがやがややっているうちに私も元気回復。大きな声で、皆と話せるようになりました。元気になったら早速写真です。外の吹雪に弱まったのをみて私にはめったに見る事が出来ない、吹雪の槍の穂先の写真を撮りました。
今までの私のあまり多いとは言えない経験の中ですが、バテた事は無く、今回初めてバテを経験しました。何でも経験する事は良いことで、バテた時、どういう風にしてもらったら嬉しいか、バテないようにするにはどうしたら良いか、身を持って経験する事が出来ましたので、この経験は私にとってとても貴重な経験になりました。
槍ヶ岳山荘の10日の宿泊者は私たち7名+2名の9名でした。
食事はいつもの食堂ではなく、レストランで頂きました。風雪は相変わらず強く、消灯の時刻でもまだ降り続いていました。明日はどうなるのだろう。。。。。
「雪崩れは、降っている時と、降った直後が一番危ないので、とりあえず5時起床で、準備しておくように。場合によっては朝食はキャンセルして出発するかもしれません。」と太田さんからのお話で、私は明日の為に早く寝る事にしました。
11日は5時起床。準備をしていると、「外はまだ吹雪いています。気温はー9℃風速10~15mです。着られる物はすべて着て、真冬の装備で出かけます。まだ視界が悪いので、朝食は食べて6:30出発します。」との指示。私はバラクラバを着け、冬用の帽子をかぶり、ゴーグルを付け、ウールのグローブにオーバー手袋の完全装備。外はまだ地吹雪。昨日から約20cmの積雪です。「雪崩れの危険性が非常に高くなるので、ビーコンは装着し、スイッチを入れておいて下さい。昨日のビーコンの練習が本番になりました。雪崩れの巣を通るので、まっすぐなるべく早く下ります。安全な場所に着くまで、休憩も取れません。」
私にとっては思っても見なかった経験。昨日バテた私は、一番前で、太田さんのすぐ後ろに付いてで歩き出しました。吹き溜まりでは私の膝までもぐる位の積雪。
時おり突風が吹き、以前に雪訓で習った耐風姿勢をとる場面もしばしば。「雪崩れの危険があるので、大声を出さないで歩きましょう。」時折止まって雪崩が来る可能性のある方向やその際の注意事項を説明して頂きながら、ほとんど休憩を取らずに私は必死に歩き続けました。
1時間半程歩いた所で雪も止んできて、風もおさまり、お天気が良くなってきました。ホット一息です。
「ひとまず安全な場所に着いたので、休憩しましょう」その時にはすでに大曲も過ぎ、槍ヶ岳は見えなくなっていましたが、歩いてきた場所を振り返りました。ここで、皆で記念撮影。ほんとに真冬のいでたちです。
休憩後は槍沢のキャンプ場まで一気に歩き、ここで、春に衣替え。今までの真冬の装備を取り、アイゼンもはずしました。キャンプ場から見る表銀座の東鎌尾根です。良い天気になりました。
もうここからは春。雪はあっても暖かく、ルンルンです。槍沢ロッジで休憩し、横尾でラーメンを食べ、明神でヨーグルトを飲み、上高地に帰ってきました。途中サルの大軍団。高山植物を食べたり、木に登ったり、生まれたばかりと思われる赤ちゃんサルがいたりと・・すごい数の群でした。上高地に帰ってきて北たアルプスの山々と梓川のバックにハイポーズ。今回の私以外のメンバーです。今回の山行は私にとっては初めての事ばかりでとても貴重ですばらしい経験となりました。大変お世話になりました。いろいろ教えて頂いて有難うございました。
by toyoko | トラックバック (0)