2013.10.19 10月の登山教室は「セルフレスキュー」八重山にて実技講習が実施されました。
上野原の里山「八重山」にての開催。登山道入口駐車場までタクシーにて移動。
その駐車場から講習が始まりました。
駐車場での講習
怪我等で動けなくなった人の搬送の仕方
■一人での搬送の仕方・・なにもなしで背負う
・背負ったら背中の人の足の下から手を回し、
背中の人の手を背負っている人の手で持つ
★実際にやってみて
・・寝た状態から背負うのはとても力が必要。
周りに人がいれば手伝ってもらわないと難しい
・・もし少しでも動かせる状態なら座った状態からの方が背負いやすい。大人を背負うのは無理と思っていたが、意外にも自分と同じくらいの体重の人も背負う事が出来た・・・しかし体力が無い人や、長い距離は難しい。
■一人での搬送の仕方2・・ザックを使用する
・ザックの中身を出し、ザックを逆さにして背負う
(左写真はザックを逆さにしないでやってみたらどうだろうと実験している・・やっぱり逆の方が背負いやすかった)
★実際にやってみて
・・ザックのハーネスを使えるので、何もないのと比べると腕等の負担は少ないが
背負う事はおなじなので体力は同じように必要
低体温症を防ぐにはまず気象状況を確認する事が大切
■北海道放送で上空1500mの気温が調べられる。1週間分の予報が見られる。
・0℃の線がかかっている地域は雪
・12℃の線付近で夏日 15℃の線付近で真夏日 18℃の線付近で猛暑日
上記を目安にすると予想がつけやすい
※通常標高で1000m上がると6℃下がると言われていますが、
平地で寒く感じても上空は必ずしも寒いとは限らないし、平地で暑くても、必ずしも上空が暖かいとは限らないとの事、この上空の気温分布は山に行く時には非常に役に立つと思いますのでご利用されては如何でしょうか(^_-)
山に入り2班に分かれて講習
「2パーティに分かれ、先を行くパーティの一人にトラブルが発生したとの設定で後から来たパーティが救助を行う」
設定「低体温症・意識不明」
・救助を依頼された場合まず自分が寒くならないように
一枚着る
・症状を確認(体温・脈・顔色・声を掛けてみる他)
・温かくする
・・地面に寝かされた状態だと下から冷えるので、
背中の下に何か敷いてあげる
ザック・マット・ツエルト・新聞他
・・頭・首・脇の下・太ももの付け根等を温める
皆が持っていた防寒着・雨具他使用
ペットボトルにお湯を入れて首の下や脇の下に入れる事も良い(写真上から3枚目)
・・急激に温かい物を飲ませてはいけない
急激に温かいものを飲むと血流が良くなり冷やされた血液が心臓に入る恐れがある為
・救助を依頼する
・・地図や指導標や標識をみて現在地を確認し、
連絡をする。電話が通じない場合は近くの小屋まで救助を依頼しに行く。
★実際にやってみて
実際、山に行く時にはこのような非常時をあれこれ想定し持って行くと荷物が重くなり、
それはまた事故に繫がる可能性が出てしまうので、現実的ではない。
あるものでの対応せざるを得ないのですが、普段から、工夫し、多用途に使用できる、応用の効く持ち物の工夫が大切だと感じた。
また一人では持ちきれないものでも、グループで少しずつ持って行く事で対応も出来るようになるのではないかと感じました。
*ツエルト…セルフレスキューの持参品には必ず出てくる品
*レスキューシート…ツエルトは持てなくても、軽くてコンパクトで応用範囲が広いので超お勧めです
*テントマット(厚さ2㎜の銀マットを半分に切ったもの)…1枚持って行くと結構かさばるので半分でも断熱材になるので非常に役立つ。荷物置き他、多用途に使えるし、ザックの中に丸くして入れておけば雨でもザックの中身の濡れが防げる。
*新聞紙…防寒にもなるし靴が濡れた時に新聞紙を入れておくと水分を吸収してくれる
設定「ねんざ・歩けない」
・この場合でも救助を依頼された場合まず自分が
寒くならないように一枚着る
・状態を確認
・靴が脱げるようであればテーピングをする
・脱げないようであれば三角巾・バンダナ・タオルマフラー等で靴の上から固定する
・搬送が出来るようであれば安全な場所まで搬送。
・・寝かせたままツエルトで搬送
…スリングがあれば、石等をツエルトの淵に括り付け
何人かで搬送
…ツエルトはあるけどスリングは無い場合
参加者の皆さんの考えた結果→ザックをつなげてそこに人を乗せて搬送してみた
・救援の依頼をする・・・低体温症時と同じ要領
★実際にやってみて
・三角巾で靴の上から固定する…ほぼ全員が体験し、タオル等でも体験
・何もない時の搬送はどうしたら良いかの講師の問いに皆で知恵を出し合い、実行してみた結果、何とか工夫してザックをつなげ、搬送する事が出来ました。
搬送される方・する方共に、この体験を通して多くの意見が出されました。
今回の講習は、「トラブルがおきた時に自分の身のまわりにあるもの、皆が助けあい工夫して何とか対応する」事を主とした内容でしたので、実際に体験してみてとても参考になりました。
参加された皆さんも、講師の話に真剣に耳を傾け、皆で協力して対応し、積極的に意見の交換をしたり、とても熱心に取組んでいました。充実した講習会になったのではないでしょうか。
また遭難者に出会った時は、「自分達で出来る事は限られているので、とりあえず応急処置をし、安全な場所を確保し、救援を呼ぶ」これがとても大切な事と実感もさせられた講習会でした。
11月は夜間歩行&ビバーグ体験です。これも体験しておくといざと云う時にとっても役に立つ講習会です。皆様のご参加お待ちしてま~す。
そして・・・12月からはいよいよ雪ですね。おたのしみに\(^o^)/
レポートby TOYO